「のし」の由来が「アワビ」にあるって聞いてどうにも自分の中でつながりませんでした。
「のし」は、本来「お祝い事」の時に、お金や品物を包んで渡す時に使われますよね。
贈り物を買うと聞かれる「のしつけますか?」の「のし」です。
現代の「のし」はどうなってる?
画像の右上にある赤い⭕の中を見てください。
赤い袋に包まれている物。
ありましたありました!
ここに「のしあわび」がありました。
なぬっ!「のしあわび」?
「アワビ」は分かりますよ。
「アワビ」といえば、海で取れる高級品っていうイメージです。
「のし」、「お祝い」そして「アワビ」、、、。
ますます謎です。
その答えは歴史の中に隠されていました。
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それでは調べてみましょう。
古代、天皇へのご贈答にはアワビ!
古代の日本、奈良時代あたりに遡ります。
(すごい歴史がありますね)
当時の貴重な食料として「アワビ」がありました。
天皇家へのその貴重で高価な「アワビ」を祭りの際などに献上していました。
なぜアワビか?
古来、「アワビ」は長寿の効果があると考えられていました。
(これは中国からの考え)
よって、天皇家へのご贈答品としては、高価で貴重で長寿の意味を持つ「アワビ」が最適だったのです。
(ここでいう「アワビ」は干しアワビ)
なるほど、ご贈答には「アワビ」、これは分かりました。
しかしながら、「のし」とはどこから出てくるのでしょう?
「のしあわび」の誕生
そこで、人々は考えました。
「アワビを伸ばしてみてはどうであろう?」と。
「それは良い考えじゃ」
ということで、早速、干し「アワビ」を伸ばしてみました。
いや、ちょっと待って。なんで伸ばさなければならないの?
良い質問です。
アワビを伸ばした理由
それは、一つのアワビから多くの「のしあわび」をつくるためでした。
なぜなら、あわびは高価なので、いかに節約できるかを考えた末の知恵だったのです。
人間考えれば何でも出来る!伸ばして伸ばして、長生きしよう!という意味も込められていました。
伸ばす時の道具「熨斗」
この伸ばす時に使われた道具が「熨斗(のし)」(アイロンのようなもの)というものだったのです。
なるほど、ココで「のし」が出てきました。
「熨斗(のし)」で伸ばした「アワビ」の事を「のしあわび」というようになりました。
ではでは、「のしあわび」の「あわび」はなぜ消えてしまったのでしょうか?
これは、室町時代に答えがありました。
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「のしあわび」が「のし」になった理由
室町時代は戦争が絶えなかった武家社会。
後期には戦国時代へと流れて行きました。
戦争への出陣の際、戦勝祈念して縁起物の「のしあわび」を儀式として食べたのです。
その時、戦に行く直前ですから、当然意気揚々としています。
そこで「のしあわびを持てい!」というのはちょっと長ったらしかったのでしょう。
「のしを持てい!」といえば、なんか引き締まりますね!
そうして、「のしあわび」のことを「のし」というようになりました。
「アワビ」が天皇のご贈答品に用いられ、伸ばしたアワビを「のしあわび」といい、
武家社会で「のし」になった流れは分かりました。
では、現代の「のし」のどこにその名残があるのでしょうか?
冒頭に申し上げたように、、、
現代の「のし」は?
画像の右上にある赤い⭕の中を見てください。
赤い袋に包まれている物。
ここに「のしあわび」がありました。
今までの日本人の風習が今の日本人にも語り継がれていますね!
しかし、贈り物でものしをつけない場合があります。
最後にご紹介しておきますね。
のしをつけない場合
1、海産物を贈り物として贈る時は、「のし」はつけない。
→海産物が重なってしまうためです。
2,贈り物の代償を求める身勝手な気持ちを込めた贈り物には「のし」はつけない。
→本来は天皇への納め物のため、純粋な贈り物の時に使用する。
歴史を紐解くと、意味があるのが良くわかりますね。
まとめ
1,アワビは天皇へのご贈答品。
2,アワビには「長寿」の意味がある
3,アワビを「熨斗」で伸ばしたものを「のしあわび」という
4,武家の社会では「のしあわび」を「のし」といった
5,「のし」を現代も、のし紙やのし袋として添えられています。
贈り物をする際には、こんなのしの由来を思い浮かべてみてはいかがでしょうか?
きっと、神聖な気持ちになりますよ。