「忍忍!」
日本が誇る、歴史上の職種。「忍者」
忍者ってのは、一言で、「情報収集のプロ」と言えます。
現在もそうですが、戦国時代、戦に勝つために、「相手を知ること」が
絶対条件でした。
そのために、バレずに敵国へ潜り込み、その情報を得ることが出来る忍者の存在は
必須だったのです。
戦国時代の忍者たちは情報を得るために、内密に調査したり、噂を流したり、仕掛けを施したりする仕事の関係で、表にはあまり出てきません。
なので謎の部分も多いですし、故に、伝説とする逸話も多くあります。
今回は、そんな謎多き、伝説多き、伊賀の忍術名人達を5人にしぼり、ご紹介して行きたいと思います!
なかなかおもしろいエピソード満載です。
楽しみながらお読みください!
①伊賀崎道順(いがさきどうじゅん)
伝説ポイント:伊賀の忍術名人筆頭!
忍術・忍法:妖者の術(ばけもののじゅつ)
通称:楯岡道順(たておかどうじゅん)
エピソード:六角氏と共に、妖者の術で百々氏を討伐する!
当時、伊賀を治めていた戦国大名が六角氏でした。
六角氏の家臣で、佐和山城にいた百々氏がある時六角氏に対し反旗を翻したのです。
これはなんとしてでも討伐しなければならない!と六角氏は怒りました。
そこで白羽の矢がたったのが、道順でした。
道順と六角氏は協議の結果、百々氏の居城、佐和山城への攻撃方法は夜襲と決定。
ここで使ったのが「妖者の術(ばけもののじゅつ)」でした。
乞食のように憐れみを乞う者に変装し、昼間は城の様子を探り、そして夜を待って
一気にするするっと城の中に他の忍者も一緒に(48人)潜り込みます。
潜り込みに成功すると、今度は敵の兵隊の格好に変装し、相手方を安心させ、
頃合いを見て、城内のアチラコチラに火を放つのです。
さらに、「裏切り者が出た!」と叫びを入れ、城内を大混乱に陥らせ、ここぞとばかりに
六角氏の軍勢が城内になだれ込ませる作戦です。
これは大成功!
混乱している百々氏は抵抗もあまり出来ず、六角氏の軍勢の前に為す術もなく敗退します。
道順の、「妖者の術」により、六角氏に大勝利をもたらし、忍者としての名を大いに高めたのでした。
これぞ、伝説!
②城戸弥左衛門(きどやざえもん)
伝説ポイント:織田信長を鉄砲で狙撃した!
忍法・忍術:火術に優れる!
通称:音羽の城戸
エピソード:織田信長を狙撃した翌日、信長に堂々と目通りし難を逃れる!
比叡山延暦寺が織田信長によって焼き討ちされた後、信長と対抗していた石山本願寺の僧侶「顕如」から、「織田信長を鉄砲で暗殺してほしい!」と城戸弥左衛門のもとに
依頼が来ます。
城戸も熱心な一向宗の門徒だったので、仏教勢力を忌み嫌っている織田信長を殺るっていう
依頼を当然受けたのでした。
暗殺の現場は、琵琶湖湖畔の膳所という場所。
馬上の織田信長、朱の大唐傘をさしかけて進んだ所、「バーーーーーン!」
銃声が響き渡りました。
銃弾は唐傘の柄に当たり、柄は砕け散りました。
あと一歩のところで、城戸の銃弾は織田信長を貫くことは出来ませんでした。
やはりまだ天は織田信長を死なせなかったのでしょうか?
次の日、城戸は菓子折りを持って、昨日狙撃した織田信長の前に現れ、
暗殺しようとした犯人探索を願い出るという行動に出るのです。
「城戸が犯人だよ!」って教えてやりたくなるくらいびっくりな行動でした!
結局織田信長は、城戸の仕業とは分からず、犯人の解明はもう少し時間を
もらわなければならなくなりました。
これも忍術?天下布武の織田信長を騙すなんて?!すごいとしか言えません!
③山田八右衛門(やまだはちえもん)
伝説ポイント:変装術で人を騙し刀を奪う
忍法・忍術:「七方出」(しちほうで)変装術
通称:山田八右衛門
エピソード:刀を侍から忍び獲る!
山田八右衛門が得意とする忍術の変装術は、その目的は相手を油断させることにあります。
相手の空きを狙って自らの仕事を成すところがこの忍術の本質と言えるでしょう。
今回ご紹介するのは、まさにこの相手を油断させ成功したお話です。
なんと、侍の腰に身につけている「刀」を奪うという離れ業をやってのけたのです。
ある日お侍さんに八右衛門が馬鹿にされます。
お主は忍者だと聞くがその術を見たことがない。本当に忍者なのか?
と侍はからかいます。
イラッとしますね!
八右衛門はこう応えました。
そこまで言うのならお見せしましょう。神社の祭礼の時、あなたの刀を奪い取って見せましょう!
承知した。しかし腰の刀など取れるわけもない。恥の上塗りにならねばよいがな!
と高笑いしながら目は睨みつけながら去っていきました。
険悪なムードですねえ。
さあ、神社の祭礼の日。
侍が八右衛門を見つけ、神社を通り過ぎる八右衛門を追って行きました。
しかしそれは変装した偽の八右衛門でした。
侍は、偽の八右衛門が近くの小山で煙草を燻らしているのを顔見知りに見張ってもらうように言い、
神社に戻りました。
近くに老婆歩いていました。
と、知らない間にいなくなりました。(これば本当の変装した八右衛門でした)
神社で、侍は賽銭箱の前に立ち、鈴を鳴らし、柏手を打って帰ろうとしたその時でした。
お刀は無事で?
いきなり現れた八右衛門は笑っていました。
侍は慌てて腰に手をやり驚きました。刀がありません。
・・・・
侍は唖然として言葉もありません・・・。
参拝が長すぎましたな。空きはそこにござった!
と勝ち誇る八右衛門。
偽の八右衛門を本物だと思い込み、老婆姿になった本当の八右衛門を見抜けなかった侍の負けです。
このように、忍者は人をまんまと騙し、その仕事を遂行していったのでした。
すごいです!
④野村大炊孫太夫(のむらおおいまごだゆう)
伝説ポイント:相手の部屋に忍び込む!
忍法・忍術:数人の声色を使い分ける術
通称:野村孫太夫
★
エピソード:武士の館の主人の部屋に忍び込む!
数人の声を使い分けることが出来た忍者、孫太夫。
伊賀流忍術名人の中でも一番最初に出てくる人物です。
ある時、武士の館に忍び込み、部屋でなにかを盗み出すミッションを上役の忍者から命じられました。
さあ、孫太夫のやり口は?
得意の声色を変えれる忍術を使って忍び込む算段です!
まずは単独で屋敷に忍び込みます。
そして次に屋敷の主人に何気なく気づかれるのです。
(おお、高等テクニック!)
武士に気づかれたら野村の忍術の出番です!
どうも気づかれたようだ。今宵は引き上げよう!
早くしろ!主人に殺されるぞ!
というように、二三人で会話をしているように見せかけるのです。
要するに、数人で侵入したと見せかける忍術なのです。
すると、主人がどういう行動に出たかと言うと、隣の部屋にいるように感じたので、
刀を抜いて隣の部屋に斬り込みます。
逃してなるものか!
と、部屋にはいるとそこには誰もいません・・・。
どうなっているのでしょう?
さらに主人は素足で庭におりて侵入者を探します。
しかし探せどもいません。
そうして部屋を主人が留守にしている間、孫太夫はまんまと部屋に忍び込み、
役目を果たすのでした。
声を使った忍術。人を信じ込ませる方法も優れていますね!
この技は正にミッションインポッシブル的な感じです。
わああ、面白い!
⑤下柘植木猿(しもつげきさる)
伝説ポイント:猿のように身のこなしが軽やか。
忍法・忍術:「浮足」
通称:木猿
★
エピソード:屋敷に潜り込み敵将を討ち取る!
木猿は猿のように身のこなしが軽く、葉の茂る樹木に登り、身を隠す「浮足」という忍術を得意としていました。
一説には猿飛佐助のモデルになった人物とも言われています。
そんな木猿が敵の武将の館に忍び込み、その武将を討ち取ってしまうという話を見てみましょう。
忍者の上役から、ある武将を討ち取るように命を受けた木猿。
さっそく武将の館に「浮足」のごとく気づかれずに忍び込みました。
しかし、肝心の武将の居場所が分からずにいました。
そこで、木猿は犬がうるさく吠える真似をして武将を怒らして、その声で居場所を突き詰めようという作戦をとりました。
ワンワン!う~ワンッ!
相当ウザったい声の量で武将を怒らせることに成功します。
野良犬めえ!あっちへ行け!
気の短い武将は大声を出してしまいました。
まんまと木猿の作戦にハマったのです。
これで、武将の居場所を突き止めた木猿は、武将の部屋に忍び入り、討ち取ったのです。
忍者って賢いですよね。作戦勝ちです!
まとめ
今回伊賀忍者の名人と呼ばれる方たちのエピソードを見てまいりました。
忍術といえど人間がやっていることですので、妖術のような現実離れしたものとはちがうようです。
それよりも、相手の心理を探りそれを上手く利用し、相手にとっては騙さえていることすら
わからないという巧みな技を忍術というのですね。
私もこの日本に実際にいた忍者たちの極意を少しでも学び、現在に活かして行けたらなと思います!