「この引越しは戦でござる!」

かつて平和な江戸時代に、引っ越しを本気で差配した男がおりました。

引きこもりから一転して引っ越し奉行に!

そんな男にスポットを当てて描いた物語、「引っ越し大名三千里」が映画化されます。

 

映画を更に楽しめればと思い、原作のネタバレを私なりに書いてみました。

直接本をご自身でお読みになるのもよし。

このブログで予習してから映画を見てもよし。

また、結構現代にもつながる教訓が散りばめられていますので、

自己啓発的な物語としてもおもしろく読めます!

「引っ越し大名三千里」から学べること一覧」

  1. 目的をはっきりさせること。
  2. 値段交渉には下調べが必須!
  3. 断捨離は自分の好きなもの、印象に残るものを残そう!
  4. 人を納得させるには、まず自ら率先垂範!
  5. 伝えにくいことも、誠意を持って!
  6. 自分をわかってくれる人には自分をさらけ出そう!
  7. 人生に必要なこと。それは愛する人を愛し、守っていくこと。
  8. 知恵を絞るには、知識も必要!
  9. 全ては商売の元
  10. 目的があることが必要!
  11. マニュアルを売る
  12. 先を見て準備をする
  13. 最後の賭けを成功させる(目的、情報、準備、協力、意志)

です。詳しくは後ほどを見ていきましょう。

とその前に基本情報をどうぞ!

原作「引っ越し大名三千里」の基本情報

作者・・・土橋章宏(どばしあきひろ)

 

主な作品・・・「幕末まらそん侍」。「超高速!参勤交代」。「スマイリング」。「海煙」など

※「超高速!参勤交代」はHULUに登録してご覧になることも出来ますよ。⇓

主な受賞歴・・・●2009年函館港イルミナシオン映画祭グランプリ「スマイリング」

●2009年第13回伊豆文学賞優秀作品賞「海煙」

●2011年第3回TBS連ドラ・シナリオ大賞入賞「緋色のアーティクル」

●2011年第38回日本アカデミー賞優秀脚本賞。第37回城戸賞。「超高速!参勤交代」

★発行日・・・2016年5月14日

★ページ数・・・288P

価格・・・文庫版で648円(税込み)

是非、楽しくお読みいただければと思います。

※完全にネタバレになりますので、ご視聴にはご注意ください

引っ越し大名ネタバレ

1・運命

後の姫路藩主松平直矩(まつだいらなおのり)は小さい頃から国替え(引っ越し)を経験していました。

3歳の時には越前大野(福井県)から、山形へ。

7歳の時には、山形から姫路へと。

当時の引っ越しといえば、相当の苦難が伴う大行事。

その姫路への引っ越しの苦難の中、松平直矩の父は他界してしまいます。

当然息子が家督を継ぎますので、なんとわずか7歳で直矩は姫路の藩主と相成ったのです。

 

★何故引っ越しが多いか?

●お家騒動絡みとか、左遷的なものが多い

(その騒動も濡れ衣的なものも多く、弛緩しきっていた江戸城内での、醜い権力闘争や、人事争いなど、嫉妬や妬みなどがきっかけになっているところもあります。人間って平和になると逆にそういう醜さみたいなもの出てきて嫌ですよね!)

 

★何故引っ越しが苦難か?

●莫大な費用が引っ越しにはかかるから。

(そのため、藩の財政が著しく悪化し、結果、力をかなりの勢いで削がれることとなり、弱らせることが出来ます。なので、罰としてはかなり効果的なやり方でした)

 

 

7歳といえば小学2年生。

国を治めることなど周りの家臣がいくら頑張ってもそこそこしか守れません。

しかも、姫路といえば、西の外様大名、中国地方の覇者・毛利家や、九州の鬼・島津家といった関ヶ原の戦いで、德川家の敵となった有力大名が近くにいました。(松平直矩は、德川家康の次男、結城秀康の孫でしたので、家康の血を引いていました)

 

とても7歳の子供には抑えきれまい。ということで、姫路につくやいなや、今度は越後村上(新潟県)にお引越し。

なんと、5年の間に3度も引っ越しをすることになったのです。

 

そんな直矩も成人となり、姫路へと更に引っ越しをすることになりました。

実に直矩は4度目の引っ越しを経験します。

 

こんなところからついたあだ名が「引っ越し大名」でした。

そのまんまじゃん!

 

こんだけ引っ越しすれば、流石にもうないだろうと思いますよね。

 

しかし運命は非情でした。

舞台は江戸。参勤交代で江戸に滞在していた姫路藩主松平直矩のもとにまた、引っ越しの下知(命令)が下りました。

今回は、更に追い打ちをかけるように減封(領地や屋敷などを削減される刑罰)です。

 

原因は、お家騒動の仲裁に少し関わっただけでした。

5代将軍徳川綱吉の大老酒井忠清に対する怨恨がきっかけでした。(要は、徳川綱吉の敵側のものは全て罰するということ)

うらみつらみが原因なんてどうかしてます!

江戸城での権力争いの巻き添えを食った形に直矩はなりました。

本当にくだらないと思います。

平和を維持するためには必要だったのでしょうかね?

 

でも、この騒動がなければ引っ越し大名は生まれず、したがってこの物語もなかったことから、必要悪だったのかもしれません!人生ってわからないものです。

 

行き先は「豊後日田(ぶんごひた)」現在の大分県日田市でした。

兵庫県から九州までです。15万石から7万石への減封(要するに収入減です)付きです。

参照:一石いくら?戦国大名たち石高一覧!一位徳川家康公!

直矩は、一か八か江戸の大老(総理大臣みたいな人)堀田正俊に引っ越しの取り消しを願い出ますが、一蹴されます。

 

諦めた直矩は、開き直り、また引っ越しを成功させてやる!と意気込み、前回の引っ越し担当者の板倉重蔵を

を当てにしようとしますが、板倉はすでに死亡。踏んだり蹴ったり。

引っ越し奉行探しから始めることになったのでした!前途多難!

2・かたつむり

カタツムリ

舞台は江戸から姫路へ戻ります。

引っ越し奉行の人選について、家老たちが話し合っています。

 

御刀番の鷹村が推薦したのが、幼馴染の片桐春之介でした。

家格は良く、書庫に引きこもっているだけ仕事を大してしていないことと、

書を読んでいるのでうんちくがあるだろうというのと、

皆、引っ越し奉行をやりたくなかったので、誰かに押し付けたかったことから

決定しました。

 

人って本当にワガママね!

 

ちなみにかたつむりというあだ名は、引きこもっている(殻に)ということと、「片桐」という名字(片=かた)から付けられました。

 

しかし、当の本人は好きで引きこもっていました。

人付き合いも下手で、書の中に囲まれて生きているのが、幸せで、最高って感じる男でした。

 

自分も、本の中で生きられたら最高って思うこともありますが、春之介もまさにそうです。

 

出世などよりも自分の世界を大事にするタイプ。

 

春之介は断固断りますが、「断るなら腹を切れ」まで言われて、結局最後、書物を捨てずに引越し先まで持っていくことを条件にしぶしぶ受けるのでした。

本当に書物が好きなんですね!

引っ越し奉行になることにほぼ否定的な春之介でしたが、一つ、母親に出世した事を報告できたことは

とっても親孝行だったのです。

今まで引きこもり、日の目を浴びてこず、周りからは全く良い評判を聞かれず、親としては、本当に困った子供だったのでしょう。

親孝行というのも簡単ではないですね!

 

引っ越し奉行に晴れて?なった春之介ですが、最初にやる仕事は引っ越しに一番大変なのがお金の工面だときいて愕然とします。その額なんと、2万両!現在価格約15億ほど!!!

参照:一両いくら?戦国時代の貨幣価値甲州金から簡単に換算してみた!

今姫路藩にあるお金が7000両(5億2千万位)ですからどんだけ?

まずは勘定奉行の中西について、引っ越しにかかる費用を知ることからはじめました。

そして手順を知ること、全体像を知ることが第一ですよね。

 

目的をはっきりさせよう!

ビジョンとしては「引っ越しを成功させる」

ミッションとしては、「引越し費用を捻出する」ってところでしょう。

ここは引っ越し奉行として成功させるために大枠を固めることはとても大事なところですね!

手順としてはってところを探しに、前任引っ越し奉行の板倉の忘れ形見の娘、於蘭の記憶をたどって訪ねるのでした。

 

3・於蘭

春之介は板倉の娘がひとり暮らしいている家を訪れますが、引っ越しの記録は残っていませんでした。

一人が寂しかった於蘭は夕飯を春之介に振る舞います。

二人きりの部屋。なんか、いい感じですね!

 

於蘭は記憶から引っ越しの段取りを紙に記していきます。

 

そして春之介が家を出る時の於蘭の潤んだ目。

段取りを書いた紙を忘れた春之介に渡す於蘭のにっこりとした表情

想像しただけで胸が破裂しちゃいそうです笑

値段交渉

荷物の搬入などの引越し業務を専門業者の川北屋にお願いに行く春之介。

板倉もこの川北屋を使っていたため今回もまずは訪れました。

 

本来かかるであろう費用は、実際は1万両が妥当だと勘定奉行がはじき出しました。

そして、引っ越しの規模が前回の半分ということで、5000両を春之介が掲示しました。

 

すると、5000両じゃ出来ない、7000両は頂かないと!などとふっかけてきました。

足元を見られているのです。

今、藩の全てのお金を合わせて7000両。無理な相談デス。舐められています!

 

次に、猛者の幼馴染、鷹村と一緒に交渉に行きます。

 

今度は鷹村が武士流の脅しを掛けて見ます。すると、6000両まで下がりました。

でも、春之介が調査して、さらに他の業者の見積もりが5000両以下だということを突き止めます。

2月8月の閑散期の商売が手薄な所を突いたのです。

 

すると、4500両に下がりました。

 

おおっ!

 

これは現在でいうところの、インターネットで調べた格安の値段を、店舗で値段交渉に使うような物

 

使える!情報って本当に大事!

 

これは面白いですね!

4・とにかく捨てろ!

引っ越しにかかる費用では荷物が多いほどかかります。

ここは断捨離で荷物を半分にするというのがミッション!

春之介は、かなり嫌われ者になりますが、権力を背後にガンガン捨てさせます。

5・炬燵

強引にみんなに荷物を捨てさせる春之介ですが、心がちょっと荒んでいきます。

そんなおり、於蘭のもとを訪れます。ここは心の癒やしステーションです。

雪を眺めながら炬燵にあたりながら、於蘭とのひと時を過ごす。最高です!

そして、炬燵の中でお互いの足が触れ合う。春之介が足をずらしても於蘭が足を絡めてくる。

 

ああ。これは、女性のいたずら、、。

 

さらに後ろから春之介抱きつき首に手を回す於蘭。

 

積極的ですね!まあ、春之介がかたつむりなので、いじりたくなっちゃうのでしょうね!

 

それにしてもドキドキしちゃいますね!

 

でも本当は於蘭は、父を引っ越し奉行激務が原因で亡くしているので、春之介には死んでほしくないという想いが詰まっているのでした。

 

そして、辛かったら逃げる!というアドバイスを於蘭から春之介はもらいます。

さらに、捨てる時のポイントとして、

見て楽しいものが必要な物。一年以上使わなかったものはすでに死に体。好きなものを残すのが選別の決めてだ。

という断捨離時のアドバイスも与えています。

素晴らしいアドバイザーですね!

 

於蘭、最高です!勉強になります。

 

6・上役

春之介より上役の小林彦太郎は、全くいうことを聞かず、荷物を減らそうとしません。

強引に捨てろというなら、捨てる根拠を示せというのです。

 

そこで春之介がとった作戦は、荷物を布で隠し、覚えていた荷物を紙に書き、紙に書けなかった、要するに覚えていなかった物は不要なものだという作戦でした。

これには小林もぐうの根も出ず、春之介に従うしかありませんでした。

 

さらに、この時間まで処分しなければ、大事な皿を割ります!と脅しも掛けれるようになっていました。

 

真面目な故に、とことん非情になれる所。

すごいと思います。

 

しかし、人は追い詰められると仕返ししたくなるものです。

 

春之介が大事にしていて、引っ越し奉行になる条件でもあった書庫の書を、春之介が捨てないのはおかしい!と。

これには春之介、困りました。

書は藩の大事な叡智。しかし、自分だけが大事なものだからといって捨てないのは周りが納得いきません

 

そこで春之介はある作戦にでます!

書の内容を、自分の頭の中に入れちゃおう!作戦です。

4日間、引きこもって書を頭の中に詰め込みました!

 

大胆な作戦ですね!

 

そして、涙ながらに書達を焼き払い別れを告げるのです。潔いです。

春之介、かっこよすぎます!

7・追われる者同士

江戸の留守居役、仲田小兵衛は、お金を貸してもらうため、様々な大名屋敷を走り回っていました。

しかし、貸してくれる学派ごくわずか。目標の額には遠く及びません。

藩士を雇ってくれるように頼んでも、それもいい顔はしてくれません。

 

どこの藩も、お財布事情は、厳しいのです。

心がすさんだ小兵衛は、姫路を引き渡す予定の福島藩本多家の留守居役を訪ねます。

同じ職で同じ悩みを抱える者同士、癒やされに行ったのです。

 

ここでの話で、ちょっと倹約の方法をゲットすることが出来ました。

帳簿の手間の軽減と、関係者の宿の軽減と、少しですが、知恵で負担を軽くすることができした。

 

やはり、悩み、知恵を絞るといいアイデアが出てきますし、知恵は誰かが持っていたりするものです

自分の頭で考え、足で知恵を取りに行く。

こんなことも、人生には必要なことだと思います!

 

勉強になります!

そして、江戸にも姫路で春之介の活躍の噂が流れてきています。

 

さあ、春之介、上役に荷物の削減を迫り、さらに自分の身を切って書を捨てました。今度のターゲットは家老です!

8・焼失

自分の書も焼き捨て、もう怖いもんなしになった春之介は、荷物の削減を藩の幹部である家老にも、

普通に容赦なく処分させました

鬼のようです。が、それをやりきってしまう所、尊敬します!

 

しかし、仕事面は上手く行っていましたが、於蘭の事になると、どうも調子狂っちゃいます。

告白しろと、幼馴染の鷹村はけしかけますが、まあ、グダグダと言い訳がましいことをいう春之介。

家老にまで荷物の処分を徹底させた同じ人物とは思えません。

 

ここが面白いところですけどね。

結局、春之介は於蘭が好きで、好きな女を鷹村に取られるくらいなら、告白する!と話がまとまりました。

鷹村のけしかけ大成功デス!

そして、今の春之介の頭の中には燃やした書物の内容がぎっしりと詰まっています。

これが仕事に対する、春之介の自信につながっています。

 

やはり、自ら努力したことは、自分の自信につながるってことを改めて感じさせてくれますね。

9・勘定奉行

お金を借りに、勘定奉行とともに、廻船問屋の和泉屋を訪れました。

その前に、勘定奉行の中西が、言い訳して他人事のように協力することを拒むので、春之介はしびれを切らして、

まだわからぬか!この引越は戦でござる!」との冒頭の名台詞を放ちます!

 

かっこいい!

藩士の半分が浪人になるかも知れぬ。引っ越しに協力されなければあなたに辞めていただく!

とビシッと言い放ちます。

流石にその言葉が響き、中西も心を入れ替え、背水之陣で自覚を取り戻してくれました。

 

人への伝え方、真剣になって話せば伝わるんだ!って事をここでも学びました。

何事も逃げてはいけない。

春之介、ありがとうございます!

 

和泉屋との交渉

なんとかお金を借りなければならないミッション。

しかし逆に、次席家老の藤原の借金が300両あることが発覚します。

借りにきたのに返さなければならないなんて!

 

どうする?

負けない春之介は、1000両をとにかくこちらの希望として提示。

借りている300両を差し引いて、700両を借りることをお願いします。

 

そして、春之介が渾身の土下座!!!!

続けて、中西のハッタリの商売情報!

このダブルパンチで和泉屋の心を鷲掴み!

 

男と男のギリギリのせめぎあい!

 

結果、和泉屋は2000両を貸し出すことと相成ります。

 

理由は、商売のお得情報もさることながら、

いつも威張っている侍がきっぱりと土下座したことで胸のつかえが取れたこと。

 

こういう交渉は、理屈だけじゃない、感情の勝負でも在るのです!

 

 

本当に勉強になります!

10・墓

次に春之介は、連れて行く藩士と藩を辞め浪人になってもらう人を区別して、その事を伝えなければならないという、過酷な作業が待っていました。

 

さらに、お墓はどうするかという問題も!

 

そこで出た知恵は、高禄をもらっている身分の高い人の禄高を下げるという案です。

上に立つもの自ら給料をカットし、そして、浪人になる人を減らそう作戦です!

 

そして、さらにどうしても辞めてもらわなければならない人に対して、帰農、すなわち百姓になってもらい、自ら生きるすべを手に入れてもらう。そして、次また引っ越しの沙汰が降った際には、何事もなければ再度加増してもらうことが可能。そして、その暁には、また藩士として雇おう!という作戦です。

 

さすれば地元の墓も百姓が守ってくれて、置いていく武器も見ていてくれます。

 

まずは今どうするかを考え、さらに先のことを考えて、希望を与えていくというやり方。

モチベーションのこともきちんと考えた上での作戦。

 

また、なるべく藩士を規模が大きくなった江戸の屋敷に住まわせて、江戸で仕事をしてもらう。

やはり、田舎より都会の江戸のほうが仕事の在り処が多いのです。

そして、次なる引っ越しの際も江戸にいれば動かさなくて済む。一石五鳥位いっちょ上がり!

 

爪の垢を煎じて飲みたい!!!

 

春之介すごすぎます!

かつての宮本武蔵も姫路城に幽閉された時、書を読み漁ったことがあるというが、それが乗り移ったかのようですね!

 

11・言い渡し

春之介は侍の身分の人に対して、ついに、百姓への道へ進んでくれるよう、引導を渡す日がやってきました。

まずは寺社奉行の山里に対して、なんとか、優秀な人材(山里)を残していかなければならないと自尊心を傷つけないように、そして、藩に戻すという話も信用してもらいながら、今は耐えてもらうようにきちんとお願いしました。

 

相手にとって痛みを伴う沙汰を下すのは、本当に神経をすり減らします。

要するにリストラです。

そんなボロボロになっても相手のことを思いやる春之介に対して、

於蘭は優しく迎え入れてくれます

 

本当に涙が出ます。

 

母親の波津も分かってくれています。

 

家族や恋人ってこういうときこそ大事だなって思わずにはいられません。

ちょっと涙が出ちゃいました、、、。

まとめ

今回は前半ということで、ここまでにします!

この前半162Pまでの所で、かなりの学びがありました。

1・目的をはっきりさせること。

何をすればよいかを知る

12.出立!

紆余曲折ありましたが、やっとのことで姫路から大分日田へ
1200名の先発隊が出立しました。
行列の引率者鷹村の根拠ない自信、ちょっぴり心配です。
何事も起きなければ良いですが、、、。

13.姫路城引き渡し

姫路城

引き渡し直前、幕府のお役人に最終確認をしてもらいます。

ネズミを見つけ、とっさの判断で、ちょうちんの火を消し、「蛾が入ったため」

とごまかし、ギリギリバレずにすみました。ヒヤヒヤです。

後は、お役人たちを宿へ送り酒宴を開いて終了です。

 

松平家の後に入る本多家に引き渡しの儀式を行い引っ越しの全ての工程が終わりました。

残ったのはガランとした城内。
翌朝春之介たちも姫路を出立することになっています。
今まで苦労したなと感慨深く
夕日に佇む白鷺城に一礼してサヨナラです。
やり遂げた感が半端ないって!

14.迷い

過酷な勤めが終わった後、いつものように於蘭の家による春之介。
熱いほうじ茶と於蘭の声は癒やしそのもの。
さらに於蘭の父も好きだった、長風呂は効果的でしょう!
それにしても、お風呂を沸かして待っていてくれたとは、相当於蘭、春之介を好きですね。
於蘭のように、後ろで支えてくれる存在って本当に大切!春之介は幸せ者だ!
一方、春之介は武士をリストラしたものたちに想いをはせる。
相手の立場、気持ちを考えるとやりきれなくなる。
そんな中、積極的に於蘭は迫り来る。
かなり、ドキドキものです。
柔らかな女性の肌、温もり。ああ!
人生で必要なことは何でしょう?愛すべき人にそれを伝え、一生守っていくことです。
正しい行いをする春之介、於蘭のハートを鷲掴みです。
でも、於蘭の気持ちもわかってあげて、勇気を出していう時は言おう!

15.不遇

於蘭も一緒に旅立てて、心強い !
周りも認めてくれてる。いい環境!
あとは、引っ越し先できちんと自立して養えるように、貿易や特産物を整え、さらには
情報収集で先手を打つ!情報収集には忍者を使うことも必要!
これらの知識は書庫でカタツムリのごとくこもって得たものです。
書というものの凄さを身にしみてわかりますね。
そして次の国替えに備える。備えてあれば、すぐに引っ越し出来る!
備えあれば憂いなし。
その一歩は情報収集!
再び仕官させるためにはあらゆる知恵を絞らねばならない!
迫りくる予想出来うる出来事に対して、早めの情報収集と、それに対する出来うる限り
対応していくという、先手先手で対応していくことの大事さを学びます。

16.船出

春之介たちが御津の港につくとなんといるはずのない、鷹村たちの船が停泊しています。

あらあら困難がまたやってきました。
すでに出発していなければならない船がまだ港にいたのです。
嵐のために出発出来ず、足止めを2日間も食らっていたとのことです。
宿代が1200名が2日分かかるってことでその莫大な追加費用に青ざめる春之介をよそに、
引率者の鷹村は「一緒に飲もう!」とケロッとしています。
予想外のことは常。
またまた知恵を絞ります。
1200名の宿代と食事代がこのままではどんどんかかります。
荷物は後でもお金はかかりませんが、人だけは先に行かねばならないと、具体策をたてます。
進行方向は西。嵐の進行方向は東。要するに逆。先へ進めば嵐を抜けることが出来ますので、歩いて
船がある赤穂まで行くことに決定しました。
そして、於蘭から山道を避けて迂回するルートがあるっていうアドバイスもありどんどん良い対応で先へ進めます。
そんな於蘭からの援護射撃を幼馴染の鷹村が「おまえやったのか?」とからかいます。
「まだしてません!」と思わず大声を出す春之介。
引っ越しの困難には上手く対応できている春之介も、このようなからかいには上手く対応出来ていなかったりします。本には書いていないようです。
そして、歩いている途中、目の前の塩田を見る春之介達。これを松平藩としてもとりいれられないか?と思案する春之介。
すでに目線は引越し後のことに思いを巡らせています。
何事も商売にしようという考えが板につきつつあります。
しかし、急遽徒歩で次の港に向かっているため、その港を治める赤穂藩に通行許可の届けを出していないところを
赤穂藩士に突っ込まれました。
でも、そこは家老、木村が赤穂藩家老の大石と顔なじみだったことで事なきを得ます。
お互いに信頼関係が結べていたからこそ、事なきを得たわけであって、もし信頼関係が皆無であったら
ことはスムーズに進まなかったでしょう。
船に乗った春之介達。まだまだ嵐の余波があるようで、船酔いをするもの続出です。
春之介の身体を案じる於蘭。
「船には強い」と言う春之介ですが、ここで於蘭がまた知恵を働かせ、
船室の衝立がある皆が見えない所へ春之介をいざない、膝枕をしてあげます。
二人きりの空間。春之介は於蘭の膝の上で夢の中へ。二人とってもいい感じです!

18.永山城

春之介は男らしく於蘭を家に住むように誘いました。
成長著しい。すでに一緒に住むことを考えていたとのこと。男になりつつあります!
まあ、虫が嫌いなのは玉に瑕でしょうが笑。
人のことを考えて、苦労をすると、人の気持ちがわかるようになるのでしょう。
引っ越しを通じて無理難題を押し付け、その反応を直に受けてきた春之介は、書には書いていないことが
山程あり、それを感じることで、成長してきたのだと思います。
日田ではまずは領地の年貢を下げて日田の領民たちの信頼関係を得る。
何にも増して必要なのは信頼関係。
これがないとなにもすすめません!
とにかく善政を敷いて、良く領地を治めていくことを徹底していきました。
そこには、姫路においてきた武士を辞め帰農して頑張っている藩士たちを戻したいという一心でした。
合言葉は「姫路の仲間を救え!」です。
いい話です。

18.風雲

舞台は江戸城。将軍小納戸役の柳沢吉保、将軍綱吉に気に入られし男。それをいいことに、国替えの推薦を綱吉にします。しかも、日田の松平家を!
その理由が気に入りません。日田の当主松平直矩が柳沢吉保を見る目が気に入らないなどという、おおよそ子供のような理由でした。そんなことで!とお思いでしょう。
世も落ちたものです。でもそれが現実。政をなんだと思っているのでしょうね。
春之介の家では、於蘭と春之介の母の波津がよくある嫁姑問題などまったくなく、上手く楽しくやっていました。
そして待望の男子、春太郎が生まれ、片桐家は賑やかになっていました。
そんな片桐家に、江戸留守居役の小兵衛がやってきて国替えを伝えます。
しかしあわてません。すでに引っ越しの準備は出来ています。
引っ越しが終わったときから先を見越してのことです。
費用も小兵衛は手を打っていました。なんと、引っ越しマニュアルを作り他の藩に売っていたのです。
これは勉強になりました。まさに情報商材。江戸時代にもこのようなビジネスが存在したとは!
素晴らしいです。
もちろん日田でも開墾し、漁をし、わずかながら稼ぎを得、播磨の酒を九州で売り、借金を少しずつ返していったりと
着々と皆行動を起こしていました。
全ては「姫路の仲間を救うため!」です。
国替え先は山形。
ここで知恵が炸裂!
参勤交代を利用するというアイデアです。
江戸まで参勤交代の行列として進み、途中姫路で帰農していたものを吸収し、
江戸に残るものは残し、残りのものは山形へ向かうというものです。
ナイスアイデア!
早速出発する春之介たちですが、箱根の関所で武器改めがが入りました。
入鉄砲に出女、で武器の出入りに厳しいのです。
まともに数え始めたら一日かかり、宿泊費用がまた余分にかかる羽目になります。
しかし春之介の機転で武器をまとめておいたのですぐに数を数えることが出来ました。
武器をまとめるなど、今までの武士の感覚ではありえませんでした。
すぐに使うことが出来ないから。
でも今戦争なんて起こりませんし、国替えの際にまた数を改められるのに備えてまとめてしまった春之介のアイデアです。
これも時代を考えてのことでした。

19・引っ越し大名

山形に着いた春之介たち。

日田とはまた違った統治方法を求められることになります。

 

山形は、すでに12回ほど藩主が変わっています。

左遷の地として定着してしまっていました。

自然、藩の政治も不安定になり、領民たちも、希望なく年貢を低く抑えてもまたどうせ替わるのだからと

感謝もありません。

 

ここで春之介たちは、やり方をかえ、地元の有力者を役人に取り立てて、地元の人が藩の方針を伝えていくというやり方に

徹しました。

 

その土地々々によってベストの治め方があります。引っ越しが多い松平家は、このようなノウハウも蓄積していったのです。

(これも売れるんじゃないかなって私は思っちゃいました)

 

そして、嬉しいことに、子供が小さくて日田においてきた於蘭と春太郎が1年後、山形にやってきてるではないですか!

これは嬉しい誤算。春之介感慨深そうです。

 

 

そんなおり、次の引越し先が決まりました。

春之介に伝えに来たのは新しく側用人に取り立てられた水谷新右衛門でした。

駆け込む水谷に対して、春之介は「ほう、来ましたか。国替えもいい加減飽きました」

と肩をすくめます。

水谷との対照的な反応がまた面白いです。

国替え先は陸奥で、160キロ位、陸路のみで春之介には手応えがない。四国か蝦夷かと思っていた春之介には

物足りなかったのでしょう。笑っちゃいますね。

 

今回加増があるということで、最終的には15万石に!これで姫路にいたときと同じ石高に戻り、

帰農した姫路の者たちを全て藩士に戻すことができそうです。悲願ですね!

 

しかし、借金は相当のものがあります。その額、5万両!

それだけ見ると大変な額で、すぐに破綻してしまうのでは?と思います。

が、実際にはそうなりません。

これは、商人との深い関係、一心同体状態のもと成り立っているからです。

 

●商人はお金を松平家に貸す。

●松平家は貿易で商人に儲けさせる。

といういい関係ももと成り立っていますが、もしお金を貸さなかったら、

●松平家が借金で潰れたら、借金は全てなかったことになる。

●商人は借金を取り戻せず大損。

よって商人は松平家を潰すわけにはいかず、またお金を貸す、という微妙なバランスの元成り立っているのです。

 

もしかしたら、今の国の借金も、国債も、同じような理屈で成り立っているのでしょうかね?

 

 

 

しかし、この国替えはいつまで続くのでしょう。

もちろん国替えにも良い点はあります。努力して楽しめる工夫があったり、家族がいれば分け合えます。

もうすでに松平家としては、かつての石高を取り戻したので国替えを阻止したい!

当主の松平直矩さえ、お金がかかるのでなるべく江戸から動かず、参勤交代は最小限にし、その際には山形の名産を江戸で売り、

江戸の浮世絵を山形で売るようにしていました。

武士がそのようなことを、、。と嘆くものもいたということですが、背に腹は替えられません!

柳沢吉保がいる限り、松平家は目をつけられ、限りなく国替えが続けられるでしょう。

その根源を絶たなければなりません!

 

20

春之介達の悲願であった、姫路に残した者たちを救う!というミッションがようやく実を結ぶことになりました!

農民のまま亡くなったものもいましたが、そのまま農業を続けるものもいました。

結果300人程が藩士に戻ることができたのです!春之介やったね!

 

21・白河の密談

陸奥への国替えから2年。また国替えがやってきました。柳沢吉保の仕業です。

ここで春之介、国替えを終わらす最大の策を仕掛けることにします。

これは、将軍綱吉が、生類憐れみの令という生き物の殺生を禁じ生き物を大事にする法を出していたことを

逆手に取ろうという作戦です。

 

まず、馬や狐狸、犬、猫などの獣を柵にて囲い、餌をやりゆるりと暮らせるようにしました。

それを幕府の目付けの人を呼び、披露するのです。(それが将軍の耳に入ります)

 

そしてその後将軍に呼ばれた松平直矩は、まず、柳沢吉保に対して、反省の念を伝えます。

これは春之介による策なのですが、柳沢吉保に罵倒される直矩。直矩我慢我慢。

 

そしていよいよ将軍綱吉とのご対面です。

 

先に目付けからの情報が将軍の耳にも入っていまして、それを直矩は、きちんと説明します。

獣が好きで、獣を集めて餌をきちんとやりゆるりと暮らさせたと。

さらに獣たちはその土地の食べ物しか口に合わず、気候が変われば死ぬものもいるから国替えで獣達を連れて行くわけには行きません、、、。

と暗に国替えを取り消してもらうことを伝えました。

 

生き物を憐れむ綱吉に、この話はズドーンと突き刺さり、なんと国替えが取り消されたのです!

 

おお!これは作戦大成功。

将軍の弱みをついた見事な作戦。

自ら決めた生類憐れみの令を将軍自ら破るわけにはいかないという点をついた見事な作戦!

 

国替えを止めた立役者!春之介。

そして次席家老になります!うわ~~~ー。

 

母親に伝える春之介ですが、そんなに喜びません。なぜ?

母親の気持ちは「引っ越し奉行として一歩外に踏み出した日。あの日から親としてはずーーと幸せでした」と。

出世してもしなくても、それはあまり関係ない。引きこもらず外に出てくれたことが一番の親孝行だったのです。

 

泣けます!

 

春太郎に於蘭。最高の家族!春之介、見事に引っ越し奉行を勤め上げました!

 

さて、最後、広い家に引っ越そうとなった時、要らない物は捨てたはずの押し入れの奥からガラクタが、、、、。

それを鷹村に見られてしまいます。

必死に言い訳する春之介。

押し入れに引きこもる春之介。

「またカタツムリに戻る気か!」と鷹村。

 

春之介は乱雑なガラクタだらけの押し入れを見ながら、「藩士たちにまた、無駄なものをもたせてやろう!」

と決意するのでした!

 

ああ、春之介最高です!

<完>

 

まとめ

自分が苦労した分、人の苦労が分かっていく春之介。

人の役に立つことが人の生きがいになるって分かっていく春之介。

人はこれほどまでに成長するものなのか?

涙あり笑いあり学びありの素晴らしい映画だと思います!

 

学びをまとめましょう!

1.目的をはっきりさせよう

「引っ越し」が大目的とはっきりしていました。2ヶ月間で、不足の引っ越し費用を補い、リストラをする。

壮大ですが、やるべきことがはっきりとしたことが、成功に結びついたのでしょう。

2・値段交渉には下調べが必須!

相場を知ろう!これは強力でしたね。

最安値を知っているかどうかは、かなり重要なポイントになりますね。

数値は最高の証拠です。

それにしても引っ越しの運搬費用、7000両が4500両になるとは、、、ボッタクリも良いところです。

3・断捨離は自分の好きなもの、印象に残るものを残そう!

「家財道具を半分にする」という大胆なミッションに、捨てる基準がかなり重要となってきます。

なにが必要か?ではなく、なにが愛着があるか?で見るほうが判別しやすいという。

一年以上使わないものは、そもそも愛着が無いのですね。

4・人を納得させるには、まず自ら率先垂範!

人に無理強いなお願いをするには、自分自身も痛みを伴うことも必要。

同じ痛みを分かち合ってこそ、人を動くということです。

でも、春之介は書の内容を自分の物にしてしまうという、上を行く対応で見習うべき所!

5・伝えにくいことも、誠意を持って!

伝えにくいことっていうのは人生に結構あります。

ましてや人の人生を左右する内容ならばなおさらです。

でも、そんなときも、真剣に、相手の苦しみや絶望をしっかりと受け止める構えを持って話しましょう。

それが誠意ってものでしょう。

6・自分をわかってくれる人には自分をさらけ出そう!

どんなに疲れ果て、ボロボロになっても、自分をわかってくれる人、受け入れてくれる人は必ずいるもの。

そんな人の前では、自分をさらけ出そう。

気持ちがうんと楽になりますね。

7.人生に必要なこと。それは愛する人を愛し、守っていくこと。

愛する人っていうのは、自分の特徴を分かって認めたくれて見守ってくれ、信じてくれる人。

こういう人と出会えたら、逃しちゃいけません。

見た目だけではないですよお。

8.知恵を絞るには、知識も必要!

人生には困難が次から次へと降りかかります。

それを乗り切るために知恵が必要なのですが、

その知恵を絞るためには知識が必要だということです。

春之介には、膨大な数の書を読んでいた下地がありました。なので次から次へと知恵が生まれたのでしょう。

経験だけでは得られないことは書からゲットしましょう

9.全ては商売の元

商売とは、人の役に立つかどうかという目線もあります。

役に立ち、欲しいと思わないと売れないからです。

そういう意味で、塩田とか、生きていく上で必要なものは売れるでしょう!

という気付きは、常に考えてアンテナをはっていないと引っかかりませんでしたよね。

勉強になります!

10,目的があることが必要!

姫路の仲間を救う!という共通の目的が春之介たちにはありました。

そのために、農業もする、領地をなんとか治める、商売もする、借金もする。

いろんな苦労も乗り越えられたのです。

誰かのために!ていう動機は、人をかなり動かすことが出来る見本ですね!

11,マニュアルを売る

引っ越しの作法をまとめたものを一部100両で売り稼いだ話。

これは、現在にも大いに使える話。

自分が苦労して行動したことが、需要があるのであれば、それを欲しいと思う者がいれば

お金を払ってでも売れるってこと。

ただでは終わらせない、これも知恵ですね。

12,先を見て準備をする

常に情報を仕入れて、先を予想し、準備をする。

これは当たり前のようですが、本当に重要なこと。

先を当てることはできませんが、仮定を作ることで、対策が練ることが出来ます。

事は準備で8割決まると言いますが、この準備も、先を予想できなければ

しようがありませんね。

国替えの情報は必須な情報でした!

13,最後の賭け

勝負をかける時は、目的、情報、準備、協力、意志が揃わなければ成り立ちません。

国替えを阻止するという目的。

将軍綱吉の生き物を大事にするというお触れを出した弱み情報。

獣を集め養護していることを目付けに披露する準備。

殿様直矩に演技してもらう協力。

なんとしてでも国替えを阻止して借金を増やさないようにするという意志。

これらが完全に揃い、成功しました!

 

かなりスッキリしました!

 

私はこの映画から多くのものを学びました。

あなたは何を学びましたか?

学びを生かし最高の人生を歩んでいきましょう!

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