戦国時代の私的な書状(手紙・文章)の最後に書いてあるサインのようなもの。あれはじつは花押と呼ばれるものです。
記号なのか?はたまた絵なのか?なんなのか疑問に思っていました。
また公式な文書には花押ではなく、現在と同じく印判(現在の判子)を押していました。
今回、戦国時代に使われていた(現在でも一部使われている)花押と印判について意味・語源・違いについて調べてみたいと思います。
花押(かおう)意味と語源は?
戦国武将たちが私的な文章の最後に署名として記載したものを花押と言いました。
その署名は苗字ではなく、名前をくずしてアレンジしてきました。
意味は、現在で言うと「サイン」ですね。きちんと署名をする代わりに、記号・符号のようなもので代用していたのですね。
普通に自分の名前をかけばいいじゃないか?とも思いますが、明確に他人と区別するために必要とされていったんです。
ちなみに、語源は、「花のように美しく署名する(押す)」というところから来ています。
ちなみ豊臣秀吉の花押はこんな感じです!
豊臣秀吉の花押
引用:Wikipedia
この花押の元の字は、「秀吉」ではなく、秀吉を訓読みにし「しゅうきつ」とし、初めと終わりの言葉をくっつけ「しつ」とし、それに漢字「悉」を当てたと言われています。
「悉国平定」という言葉がありますが、「すべての国を平定する」という意味が込められています。
戦国の世を終わらせてやる!っていう気持ちが感じられますね。
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もう少し他の武将の花押も見てみましょう。
織田信長の花押
引用:Wikipedia
これは、伝説の生物、麒麟(きりん)をイメージして「麟」という文字を花押にしたためたと言われています。
ここに込められている想いとは何でしょう?
麒麟は、正しい政治が行われているときにしか現れないと信じられてきました。
天下統一して争いを終わらせたい信長にとって、この花押に込める思いは、並々ならぬものがあったのでしょう!
2019年の大河ドラマ「麒麟が来る」の麒麟も、ここから来ているのでしょう。
もう一つ!
竹中半兵衛の花押
引用:Wikipedia
このモチーフは「鳳凰ほうおう」だということです。
これまた伝説の鶏で、麒麟同様、平和への願望の意味が込められています。
豊臣秀吉の部下で、策を与える役割の部下だった半兵衛は、色々と思案していたのかなと感じます。
戦国時代真っ只中で、戦が耐えない中、平和を願う気持ちは多くの武将たちが持っていたのですね!
似たような意味のものとして印判(いんばん)というものがあります。
この印判と花押との違いってものの補足として説明してみたいと思います。
花押と印判(いんばん)の違いとは?
印判というのは今で言う、「ハンコ」ですね。
署名っていう意味合いではほぼ同じですがでも2つ違いがあります。
1つは私的か公的かの違いです。
どちらかと言えば私的な使い方をしていたのが花押で、公的な方が印判でした。
もう1つは自署しているのが「花押」で、判を押すのが「印判」てことですね。
「花押型」というはんこのようなものも普及したりするのですが、基本的にはね。
印判(いんばん)と判子(はんこ)の違いは?
それでは今度、印判と判子の違いについて見てみましょう。
「印判」とは、イコール現在の「判子」のことです。同じ意味なんですね。
じゃあ何が違うかといいますと、判子は江戸時代よりも前の時代には、「印判」と言われていただけなのです。
江戸時代になって、「版行」という印刷する技術が広まるようになってから印判のことを「版行(はんこう)」というようになり、そこから「判子」と変化していったのです。
ちなみに印判(判子)と印鑑の違いもついでに見てみましょう。
印判(判子)と印鑑の違い
印判(判子)とは印全体を指します。
一方印鑑は、印を押した後に写る「印影」を指すのが正しいです。
あまり意識せずに使っていましたが、厳密には違いがあるんですねえ。
ちょっと、豆知識でした。
花押は現在でも使っている?
基本的には一般的に使用はしていないようです。(一部JRの駅長さんなどが利用している程度)
ただ、政治家さんはお使いのようです。
内閣の閣僚たちが案件を決める際のサインは花押を使用しているようです。
これも日本の文化ですから一部でも残してほしいものです!
現在では花押は使えない?
その他の使い方では効力がなかったりしています。
2016年に、遺言書に書かれた花押が無効という最高裁判所の判断がなされてしまったのです。
あらら。
今後は、気をつけないといけませんね。
まとめ
花押と印判の意味・語源・違いが分かりましたね。
花押も武将によって平和の願いが込められていたりと楽しかったです。
私もサイン(花押)を考えようかな!